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【2ch】世にも奇妙なニートの物語 第2話『ゴキブリ』

更新日:

「世にも奇妙なニートの物語」
2chでおもしろいと絶賛されたID:UcMrseUd0さんの作品。
http://hayabusa.2ch.net/news4vip/kako/1360/13605/1360581143.html
ニートをテーマにした4作からなるオムニバス形式となっています。

 
タモリ「益虫、害虫という言葉があります」
タモリ「文字通り、人間に利益をもたらす虫を益虫」
タモリ「人間に害を及ぼす虫を害虫、といいますが」
タモリ「あるニートの男性が出会ってしまった虫」
タモリ「はたしてそれはどちらだったのでしょうか……?」

 

第2話 『ゴキブリ』

 
< アパート >
寝そべりながら、菓子を頬張るニート。
ニート「…………」ボリボリ…
ニート「お、そういやそろそろ今月の仕送りの日だな」ガサゴソ
ニート「資格の勉強してる、なんていってるけど、な~んもしてないっての」ボリボリ
ニート「やっぱり持つべきものは優しい親だよなぁ~」ガサゴソ
ニート「親の金で好きなことをして生活する」ボリボリ
ニート「これぞ憲法のいう“健康で文化的な生活”ってやつだよなぁ~」ガサ…
ニート「ちぇっ、もうポテトチップなくなっちゃった」

 
ニート(何週間か前に、買い占める勢いで買い溜めしてたのになぁ~)
ニート(コンビニまで歩いて五分か、遠いなぁ、めんどくさいなぁ~)ゴロン…
ニート(いいや……買いに行くのはまた今度だ)
ガサゴソ……
ニート「ん?」
ガサゴソ……
ニート「うわぁっ! ゴキブリだぁっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
ニート「うわぁぁぁっ! こっち来んなっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
ニート「ひいぃぃぃぃぃっ!」ダダダッ

 
< 外 >
ニート「ハァ、ハァ、ハァ……」
ニート「つい外に飛び出してしまった……」
ニート(くそっ、引っ越してから今まで一度も出なかったのに……)
ニート(イヤだなぁ、一匹見たら30匹はいるとかいうもんなぁ……)
ニート(……それにしても、外に出るなんて何週間ぶりだろう)
ニート(せっかくだ。ゴキブリも怖いし、少し外を散歩するか……)

 
< アパート >
ガチャッ……
ニート「ただいまぁ……」
ニート「…………」キョロキョロ
ニート「よかった……もうゴキブリはいなくなったみたいだな」
ニート「さぁ~て、パソコンでもやろっかな」

 
翌朝、熟睡するニートの顔を得体の知れない感触が襲った。
ガサゴソ……
ニート「……ん?」
ニート「!? ──ゴ、ゴキブリィッ!?」
ニート「うわぁぁぁっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
顔を洗うニート。
ニート(く、くそぉ~……顔に……!)バシャバシャ
ニート(あ~もう、冷たいなぁ!)バシャバシャ
ニート(しかもまだ6時じゃないか! こんなに早く起きるなんて、何年ぶりだよ……)
ニート(ようし……せっかく早く起きたんだ)
ニート(なんとしてもゴキブリを退治してみせる!)

 
ニート「えいっ!」バンッ
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「とりゃっ!」バシッ
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「く、くそっ……すばしっこい! 体も反応も追いつかない!」
ゴキブリ「…………」ガサッ
ニート(しかも、ぼくが散らかしてるゴミを巧みに利用して、隠れやがる!)
ニート(ゴキブリのくせに、なんて賢いんだ!)

 
ニート(そうか!)
ニート(部屋が汚いから、ゴキブリに隠れる場所を与えてしまっているのか!)
ニート(そうと決まれば、さっそく部屋の掃除だ!)
ニートは部屋の掃除を始めた。
ニート「げほっ、げほっ!」
ニート「うへぇ~、引っ越してから初めて掃除するから汚いや」
ニート「こりゃ、今日一日潰れちゃうな」
ニートは一日をかけて自分の部屋を掃除した。

 
同時に、ニートは自己改造も必要だと悟った。
ニート「ゴキブリのあのすばやさに対抗できるよう、体力もつけなくちゃな」
ニート「あと、目が疲れてちゃゴキブリを追えないから、パソコンやゲームを控えよう」
ニート「えっほ、えっほ」タッタッタ…
ニート「えっほ、えっほ」タッタッタ…
ニートはジョギングや筋トレを始め、体力をつけた。
ニート「ふっふっふ……今日こそぶっ潰してやる!」
ニート「オラッ! オラァッ!」
バシィッ! バシィッ!
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
しかし、ゴキブリを倒すには至らなかった。

 
ニート「くそぉぉぉっ!」
ニート(どうすればいい! どうすればヤツを倒せる!?)
ニート(そういえばこの間……)
ニート(一発だけ丸めたチラシを当てることができたっけ。死ななかったけど)
ニート(あのチラシ、どこやったかな……まだゴミ箱に……)ガサガサ
ニート「──あった!」
ニート「なんのチラシだ……? 経験は問いません……? なんだ、求人広告か」
ニート「──そうか!」
ニート「金稼いで、ゴキブリ撃退グッズ買ったり、業者とかに頼めばいいじゃん!」
ニート「ぼくって頭いい~!」
ニート「親の金じゃ、自分の力で勝った気になれないもんな!」

 

 
それからというもの、ニートは就職活動に没頭した。
ニート「スーツは一応あるけど……」
ニート「面接の時、靴下は白の方が明るくて印象いいよな」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「うわっ! ゴキブリが靴下に!? きったないなぁ!」
ニート「あ~あ、もう紺色のしかないじゃん……仕方ない、これ履いてくか」

ニート「今日は雨降ってるから、やめとこ──」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「ひぃぃぃぃっ!? 分かったよ、行くよ!」
ニート「お前に怯えて部屋にいるぐらいなら、外で就活してた方がマシだ!」ダダダッ

 
面接官「趣味は?」
ニート「ゴキブリ退治です!」

面接官「座右の銘は?」
ニート「親の金で健康で文化的な生活、です!」

面接官「英語は話せる?」
ニート「まったく話せませんが、ネットスラングならいけます!」
もちろんこんな調子では、何社も何十社も落ちたが、
ニート(ゴキブリを倒すためだ!)
ニート(絶対に諦めない!)
ニート(今日の失敗は明日に生かす!)
打倒ゴキブリの意志は崩れなかった。

 
そしてついに──
バタンッ!
ニート「ゴキブリッ! ついに内定取れたぞっ!」
ニート「初任給で、撃退グッズいっぱい買って──」
ニートの宿敵であり続けたゴキブリは──
部屋の真ん中で仰向けになって動かなくなっていた。
ニート「ゴキブリ……?」
ニート「そ、そんな……」
ニート「うわぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!」

 
一年後──
< ペット霊園 >
小さな墓石の前で手を合わせる一人の男。
老人「おやおや」
老人「ずいぶん熱心に手を合わせてますが、よほど可愛かったんでしょうな?」
リーマン「いや……可愛くはなかったですね」
リーマン「ですが、世話にはなったんで、住職さんに無理いって作ってもらいました」
リーマン「おかげで初任給は丸々なくなりましたけどね」
老人「よほど思い入れがあったのでしょうなぁ。犬? それとも猫ですかな?」
リーマン「……ゴキブリです」

 
~おわり~

 
タモリ「あなたが普段退治している虫も」
タモリ「もしかしたら、あなたの人生を大いに変えるきっかけになるかもしれませんね」
タモリ「このように、人生にはさまざまな出会いがあります」
タモリ「さて、やはり男女の出会いというものは、働かずにいるよりは」
タモリ「働いている方が多くなるものですが」
タモリ「どうやら、最近はそうとも限らないようです」

 
第1話 『俺だけの才能』
第3話 『家事手伝い』
第4話 『無職を減らす方法』

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